慶應義塾大学KGRI
環デザイン&デジタル
マニュファクチャリング創造センター

Digital Manufacturing and Design Research Center for Emergent Circularity

VISION/MISSION

デジタルものづくりで「地球環境」と「産業」が相乗的に持続する未来を実現する

デジタルものづくり(クラフト、ファブリケーション、マニュファクチャリング)は、
必要なときに/ 必要な量の / 必要なものを / 必要な場所で
誰もがデジタルデータから「直接製造」することを可能にしました。

中でも3Dプリンタは、われわれが文部科学省センター・オブ・イノベーション(COI)プロジェクト(※1)
を通じて研究を実施した2010年代の間に、試作技術から実製品を直接中量製造できる技術へと社会的に進化しました。

静音であること、安全であること、省電力であること、余剰材料(ゴミ)がごく少量であること、
リサイクル可能であること等の特徴から、今後は地球環境に負荷をかけない、
脱炭素と資源循環に根ざした新しいものづくりを先導するエンジン役を担うことが期待されます。

大量生産パラダイムから脱皮しながら、ものづくりをデジタルに転換することは、喫緊の課題です。
私たちは「地球」も「産業」も持続していくための、新しい視野を持ったデザインを「環デザイン」と名づけ、
実践的にその可能性を研究しています。

※1文部科学省COI「感性とデジタル製造を直結し、生活者の創造性を拡張するファブ地球社会」(2013-2021)

OUTCOMES/これまでの研究成果

  • リサイクルプラスチックを用いた3Dプリントによるオリンピック・パラリンピック競技大会表彰台(2020)

    東京2020 オリンピック・パラリンピック競技大会の表彰台を3Dプリンタで制作するプロジェクトの設計統括

    市民参画型「みんなの表彰台プロジェクト」内で、田中浩也研究室の卒業生・研究員・学生が連携し、研究開発から製造設計までの重要パートを担当 (→press release)

    Portfolio Item

    新素材を用いた3Dプリントエアレスタイヤ (2019)

    ブリヂストン株式会社との共同研究

    新素材(SUSYM)を用いた3Dプリントエアレスタイヤ。「第46回東京モーターショー2019」への展示

  • 3D PRINTED ReACTIVE WALL (2019-)

    株式会社竹中工務店との共同研究

    季節の移ろいに呼応する壁面パネルを3Dプリントによる連作として設え、モビリティとリビングの未来の形を具現化した体験施設「EQ House (イーキュー ハウス)」の壁面に設置

    触感インテグラルメタマテリアルの開発とインソールへの適用

    JSR株式会社との共同研究

    3Dデータ処理技術を応用し、単一素材から多様な触感を表現することに成功。通気性、重量とあわせて自在に変化させることにより 快適な義肢装具の製造方法を編み出し、ラピセラ株式会社の3Dプリントインソールに適用。

    CIRCULAR PRINTED FURNITURE (2020)

    東京エコリサイクル社との連携

    廃棄された冷蔵庫やエアコンから取り出し再生したリサイクルプラスチックとフィラー材を再び用い、大型3Dプリンタによって造形した資源循環型の家具デザイン

  •  
  • COVID-19 Face SHIELD (2020)

    プロクター・アンド・ギャンブル・ジャパン株式会  エス.ラボ(株)/丹青社/テラサイクル社/ナノダックス社との連携

    子供向け3Dプリント製フェイスシールドの新モデルを公開&全国の聾学校等へ約1万個を寄贈。
    また、3Dプリンタの有事活用としてフェイスシールド製造が行われた状況を望来的に調査・分析(→link)した。

    個別化フェイズフリー・フットウェア (2021)

    株式会社no new folk studioとの共同開発

    平常時と災害時という社会のフェーズ(時期や状態)を取り払い、普段利用している商品やサービスが、災害時にも自然かつ適切に使えるようにする「フェイズフリー」のコンセプトに基づいた、3Dスキャン技術と3Dプリント技術を用いた新たなセンサ内蔵フットウェアを共同開発
    (→Annual Report 2020)
    (→press release)

     

  •  

  • CONCEPT

    LEAP CYCLE / リープサイクル™

    前より高い価値を持つものにマテリアルリサイクルすることは「アップサイクル」と呼ばれ、徐々に広がりつつありますが、我々は、マテリアル本来の可能性に、3Dプリンタ等のデジタル製造技術の力を掛け合わせ、前とは別次元に高付加価値なモノへ飛躍させること、そしてライフサイクルを未来へと延伸させることを「リープサイクル(跳躍循環)」と名付け、その理論化と実践に取り組んでいます。 このコンセプトを2030年までにあらゆる産業セクターに社会実装することが、本センターの主要目的です。

SOLUTIONS

インテグラル・メタマテリアル設計

プロダクトに本来期待すべき複数の要求性能を整理し、光・音・電磁・機械・音響などの分野で世界的に研究が進められている「メタマテリアル」を複合的に組み合わせ、革新的な3D機能構造や機能表面を提案します。これを組み込むことによって、プロダクト全体の材料点数と材料種類を削減し、製品のリサイクル性を向上させる価値も実現します。

潜在循環創出シナリオのプランニング

あるマテリアルを、どのような3Dプリントプロダクトに利活用すれば、将来に渡って持続的に価値が向上するか、ジャンル(領域)を横断してその可能性を網羅的に探索し、「ありうべき可能性」を複数のシナリオとして可視化します。

環境的価値と人間的価値の統合的評価

人間的な視線と地球的な視線を行き来しながら、「資源循環」「脱炭素」「省エネ・創エネ」「有事と平事の連続」「生物多様性向上」「海面上昇適応」「高齢化社会」の7つを主要キーワードに、未来の製品を意味づけ/価値づけます。また製品の感性価値評価、ライフサイクル(LCA)評価、および実際のフィールドテスト・ユーザテストを通じたセンシングデータの取得を複合させ、地球の持続と人間の行動変容、両方に対して生み出す新しい「もの」の価値を、科学的に定量化、可視化します。

METHODS

我々のラボが構築する設計技術

4Dコンポジット設計(4D)

温度や湿度もしくは空気や材の伸縮膨張といった環境要素の変化を用いて、モーターによらない有機的な変形や状態変化を生み出すため、複数の異なる材料を相互に編み合わせる/噛み合わせる設計技法を開発しています。そのための高速シミュレーションソフトVoxFABを独自開発しており、さらに任意の3D形状のなかにコンポジット構造を挿入するためのメタセコイアボクセルプラグイン(株テトラフェイス社開発)を運用しています。

メタ(アーキテクティッド)
マテリアル・データベース(AD)

特殊な性能を持った構造体や表面パターンを計測し、AshbyMap等の上にプロットした状態で使いやすく整理しています。あるプロジェクトで発見されたメタマテリアルを、異なる材料・異なるスケールに展開することで、業種を横断して連続的にイノベーションを達成することを目標としています。

市民参加型
オンライン3Dモデリング(CM)

リモート(オンライン)環境で、ブラウザ上で誰もがデザインのアイディアを書き込むことのできる、街並み3DエディタMACHI-CAD (マチカド)を開発し、市民の多様なアイディアを取り込んだ、まちのものづくりを実現します。

ビスポーク設計(BP)

3Dプリンタで可能となる一品一葉のカスタマイゼーションのためには、手作りの職人が持っている「すり合わせ」の暗黙知(ビスポーク知識)を引き出し、デジタルな記述(3D形状を定義する複数の変数)へと移植していく作業が必要になります。当ラボでは、カスタマイズが可能な3Dプリント義手・義肩・靴・椅子などの実プロジェクトを通じて、その高度な知の抽出と移植のノウハウを蓄積しています。ウェブ上のパラメトリックモデルを構成するためには、OpenSCAD, Nodi3D等のソフトウェアを活用しています。

シームレス生産設計(SM)

3Dプリンタ製造時の制約(オーバーハングやブリッジ等)と、金型設計製造時の制約(抜け勾配等)の両方を同時に満たす3Dデータ設計を行うことによって、3Dプリント製造(少量~中量)から金型による製造(中量~大量)までを、期間や需要の量に応じてシームレスに切り替えたり同時に進めることを保証・実現する3Dデータ設計技術を保有しています。

ハミルトニアンパス設計(HP)

大型3Dプリンティングにおいては、製造時間の短縮とプリント品質の担保のため、3Dプリントの射出経路を、途切れることなく最短距離の一筆書きに帰着することが鍵となります。当ラボは、どのような複雑な形状でも3Dプリンタ向けのハミルトン経路へ変換するアルゴリズムを保有し、特許技術(特願2015-064346)を取得しています。また、経路データを直接編集するためのFabrixというソフトを独自開発しています。これらを前提とすることによって、3Dプリントのための自由な設計を担保することができ、複雑な機能(通気性や配管など)が埋め込まれた革新的な壁面等をいくつも設計していくことができます。

LAB / ラボ

本ラボでは、異種3Dデータを相互に変換できるソフトを共同開発し運用しています。
このソフト開発の過程で生まれた「ボクセル」形式の3Dデータを広く JIS標準化
(規格番号:B9442、「3Dモデル用FAVフォーマットの仕様」)する試みも行いました。

  • Portfolio Item

    Fabrix

    ダイレクトG-CODEエディタ
    3D機能表面の生成

    Portfolio Item

    VoxFab

    超高速ボクセル
    3Dシミュレーション

    Portfolio Item

    Fab3D

    メッシュ+ボクセル形式による6000超の3D部品データベース

    Portfolio Item

    Metasequoia

    テトラフェイス社が開発する、さまざまな3Dプリント向け特殊機能を追加した3DCADを運用

本ラボでは、エス.ラボ社製の国産高速樹脂ペレット式3Dプリンタを軸とし、
小型(S)から超大型(XL)までの樹脂式3Dプリント群、各種シミュレーションのための高速計算サーバを保有しています。

  • Portfolio Item

    ArchiFab IRORI (M)

    Granules Extrusion Modeling テクノロジーを搭載したエス.ラボ社製マシン。2ヘッド。出力範囲800×400×400 mm。

    Portfolio Item

    ArchiFab TATAMI (ML)

    Granules Extrusion Modeling テクノロジーを搭載したエス.ラボ社製マシン。3ヘッド。出力範囲 1000× 1000×1000 mm。

    Portfolio Item

    ArchiFab MAI (L)

    デンソー社製ロボットアームとエスラボ社製ヘッドの組み合わせ

    Portfolio Item

    ArchiFab NIWA (XL)

    株式会社エス.アイ.エスとの共同開発。最大30メートルの可動範囲を有する世界最大サイズの3Dプリンタのひとつ。

共同研究についてのお問い合わせfabearth@sfc.keio.ac.jp

共同研究契約

「大学が研究開発している技術と、企業が保有する技術とを掛け合わせ、新たな価値を生む取り組み」が「共同研究」です。具体的には、特殊マテリアル(バイオプラスチック、リサイクルプラスチック、その他特殊な機能を持つプラスチック)を保有する材料企業と共同しての、メタマテリアル開発や製品プロトタイプの探索、あるいは特定製品の設計に関する長い知見を有するメーカー企業と共同しての3Dプリント化、プロダクト化などの実績を有しています。これ以外にも「環デザイン」のコンセプトから導かれる、新たなスタイルの共同研究も検討が可能です。

技術指導契約

「これまで大学が研究開発してきた技術をパッケージ化し、人(大学側の研究者)から人(企業側の担当者)へノウハウを直接伝達する」のが「技術指導」です。ソフトウェア面で言えば、メタ(アーキテクティッド)マテリアルデータベースの活用や評価、ハードウェア面で言えば、大型3Dプリンティングのノウハウ伝達などの実績を有しています。これ以外にも、「環デザイン」のコンセプトから導かれる、新たなスタイルの技術指導も検討が可能です。

ライセンス/ロイヤリティ契約
(知財移転契約)

大学が保有している特許や意匠など知財等の権利を、使用許諾というかたちで企業が利用できる状況に移行する契約が可能です。また、最終的にライセンス/ロイヤリティ契約を前提とした共同研究も可能であり、その場合の共同出願契約などの仕組みも準備されています。

研究メンバー

  • 田中 浩也

    慶應義塾大学
    環境情報学部 教授

    村井 純

    慶應義塾大学
    教授

    山本 龍彦

    慶應義塾大学
    法務研究科 教授

    神武 直彦

    慶應義塾大学
    システムデザイン・マネジメント研究科 教授

  • 中村 雅也

    慶應義塾大学
    医学部 教授

    武山 政直

    慶應義塾大学
    経済学部 教授

    小池 綾

    慶應義塾大学
    理工学部 専任講師

    玉村 雅敏

    慶應義塾大学 総合政策学部 教授
    SFC研究所 所長

  • 宮川 祥子

    慶應義塾大学
    看護医療学部 准教授

    山岡 潤一

    慶應義塾大学
    メディアデザイン研究科 専任講師(有期)

    三次 仁

    慶應義塾大学
    環境情報学部 教授

    植原 啓介

    慶應義塾大学
    環境情報学部 准教授

  • 仲谷 正史

    慶應義塾大学
    環境情報学部 准教授

    青野 真士

    慶應義塾大学
    政策・メディア研究科 特任教授

    常盤 拓司

    慶應義塾大学
    政策・メディア研究科 特任准教授

    益山 詠夢

    慶應義塾大学
    政策・メディア研究科 特任講師

  • 増田 恒夫

    慶應義塾大学
    政策・メディア研究科 特任助教

    青木 まゆみ

    慶應義塾大学
    政策・メディア研究科 特任助教

    淺野 義弘

    慶應義塾大学
    政策・メディア研究科 研究員

    守矢 拓海

    慶應義塾大学
    政策・メディア研究科 研究員

  • 松原 健二

    株式会社ロングフェロー
    代表取締役

    長田 典子

    関西学院大学
    理工学部 教授

    渡辺 智暁

    国際大学グローバル・コミュニケーション・センター
    主幹研究員/教授

    道用 大介

    神奈川大学
    経営学部 准教授

  • 水野 大二郎

    京都工芸繊維大学
    KYOTO Design Lab 特任教授

    津田 和俊

    京都工芸繊維大学
    デザイン・建築学系 講師

MESSAGE

センター長 田中浩也 挨拶

循環型経済への転換が世界レベルでの急務となっているなか、製品やサービス、事業、仕組みを統合的に刷新する「サーキュラーデザイン」は必須のリテラシーとなってきています。
その世界の方向性に心から共感しつつも、同時に私は「サーキュラーデザイン」ではなく、あえて「環デザイン」というキーワードを軸に据え、センター名とすることを決めました。

会意兼形声文字である「環」は、「死者の霊が「めぐる」「めぐらす」ことを願う儀礼」を象って生まれた漢字です。
物質を循環させることを推進しつつも、それだけではなく、材料に新しい価値を吹き込むこと、人の心を動かすこと、自然界の見えない流れと対話することなどの、深い精神的本質が文字の中に宿されており、その態度が、今後の私たちの指針となると確信したからです。

最終的には日本から世界に対して、実例とともにこの新たなデザインコンセプトを発信することが、KGRI (慶應グローバルリサーチインスティチュート)としてのゴールです。その過程でさまざまな皆様と共同ができることを、研究員一同楽しみにしております。

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